「弁護士費用って高そう・・・。」
そう思って,法律事務所の敷居が高いと思われている方は多いのではないでしょうか。
確かに,トラブルに巻き込まれただけでも精神的に参っており,対応する時間も奪われ,なおかつ弁護士費用もかかるとは,なかなかしんどい話です。それが高いとなれば,なおさらきつい。
私の聞いた中で最も強烈だったのは,「昔,近所の人が土地のことで弁護士に相談に行って,田んぼ一枚売らなければならなかった。」という話です。ホンマカイナ。にわかに信じがたいのですが,ベテランの弁護士の話では,「昔は相談が一件有ると●●(料亭名)で芸者をあげて宴会ができよったらしい。」という話もありました。ベテランのその方も更にその先輩からの伝聞なので,明治か大正時代あたりの話かもしれません。
今はそんなことはないですよ。
相談料は自由化されていますが,大体どこの法律事務所も,初回市民相談料については何十年も前から30分あたり5000円程度で変わっていません。専門家がマンツーマンでついてこの価格は正直言って安いと思います。法律相談料は卵やバナナと同様の「物価の優等生」なのです。
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「30分5000円?それでもしんどいなあ。」という方には,いくつかの方法があります。
1 無料相談会にいく
自治体や社会福祉協議会などで,無料相談会を開催している場合があります。
市町村の広報誌など良く見てみると,載っていたりします。
そういうところに申し込んでみてください。
ただ,予約がいっぱいで相談まで日数が空いたりして紛争がこじれてしまったりしたら元も子もないですが。
2 法テラス
所得や資産のない方には,法テラスという国の制度が使えることがあります。
この場合は,各法律事務所に法テラスを使うことを述べて予約を入れて下さい。
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上記のような手段で「法律相談」を無料で受けられたとしても,弁護士を代理人として交渉や訴訟などを行うためには,「着手金」や「成功報酬」が必要です。そして,これはじっさい,結構高いのです。
当事務所のHPでは,日本一詳しいのではないかというくらい,詳細に費用目安も示しながら解説してあるので,詳細はそちらをご覧頂きたいのですが,例えば1000万円の債権回収だと着手金が標準で60万円ほど,全額回収できれば更に報酬で120万円ほどという計算になります(実際にはかかる手間の度合いに応じて減額することもあります)。サラリーマンにとっては,月収と比べてみても,油断ならない金額です。。
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これら着手金や報酬をタダにする方法があると知ったら,驚かれるでしょうか。
それは,「保険の活用」です。
車を運転する方ならほぼどなたでも入っている任意保険の中には,「弁護士費用特約」という制度が組み込まれていることがあります。この制度は,一定の紛争につき,大体300万円くらいまでの弁護士費用・実費等が保険で支払われるというものです。ご家族のトラブルにも使える場合がありますし,保険料は年額2000円いかないくらい。とてもコストパフォーマンスの良い保険だと思います。
保険の対象となるのは,残念ながら主として交通事故事案に限られるのですが,保険会社によっては,他の様々なトラブルの弁護士費用も保険で支払われる制度もあるので,この機会に一度確認しておかれると良いと思います。
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ところで,交通事故の案件は,弁護士が入るか否かだけで,かなり受け取る金額が変わってくるという変な事件です。保険会社は,自賠責の基準,自社の基準,弁護士基準,裁判基準など,様々な基準を相手によって使い分けてきます。特に後遺症もない少額の事件ならまだしも,後遺症の等級がつくような案件では,弁護士が入ることで例えば4000万円の提案が8000万円になったりといったことはザラにあります。後遺症案件や死亡案件では絶対に弁護士をつけるべきですし,弁護士保険があるならなおさらです。示談してしまってからでは遅いですよ。
(弁護士 立石 量彦)