労働契約法①

【契約社員さんが希望すれば80歳まで働ける!?~改正労働契約法,高年齢者雇用安定法の対策は進んでいますか?~その①】

 

ちょっと未来のお話です。

 

平成30年5月1日,契約社員の鈴木さんが上司に言いました。

「私を無期契約の社員にしてください。」

鈴木さんは,平成23年入社,1年契約の有期契約社員として,毎年契約更新を繰り返し働き続けてきました。

その鈴木さんが,無期契約の契約社員になりたいと申し込んできたのです。

無期契約社員とはすなわち,基本的に定年まで働き続ける契約の社員です。

 

平成24年に改正された労働契約法では,基本的にこのような鈴木さんの申出を会社が拒否することはできません。

鈴木さんは無期契約社員として働き続けることになりました。

 

平成37年5月1日,鈴木さんは60歳定年を前に,「定年後も働き続けたい」と会社に言いました。

会社は,就業規則で60歳定年を定めていました。

しかし,平成24年に改正された高年齢者雇用安定法では,このような鈴木さんの申出があった場合,65歳までは雇用を継続しなければなりません。

鈴木さんは,いったん定年退職扱いとなったうえで,1年契約の契約社員として働き続けることになりました。

 

平成43年5月1日,鈴木さんは定年後の再雇用契約社員として6年目です。会社は鈴木さんに,「65歳もすぎたことだし,次の契約更新はしない予定です。長い間お疲れ様でした。」と告げました。

ところが鈴木さんは,「今後もこの会社で働き続けさせてください。身体は健康ですし,70歳でも80歳でも働けます。」といいました。

このような場合,平成24年に改正された労働契約法では,会社が鈴木さんの申出を拒否できない可能性があります。

 

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 平成24年に労働契約法,高年齢者雇用安定法が改正され,すでに施行されています。

 これらの改正法になんら対策をしていない会社は,そう遠くない将来,上記のような事態に直面することになります。

 

 改正法の内容を理解し対策をしておくことが,後のトラブルを防ぐために必要となるのです。

 

 

 そこで,次回から,改正法の内容と対応策について,鈴木さんの例を使ってお話します。(鈴木亜佐美)